戦略日記
戦術の延長線上に未来はない #76
戦いに勝つには、「将軍の術(ストラテジア)」と「兵士の術(タクティス)」の二つを高める必要がある。
この語源から戦略と戦術を経営に置き換えると、戦略は、社長の高めるべき経営能力であり、戦術は、戦略に基づき社員が高めるべき技術となる。
戦略は社長の重要不可欠な役割、任務そのものであり、経営全体を取り扱い、対象範囲は広く深い。
複雑で誰もわからない不確実要素がたくさんである未来への意思決定を含み、相当、頭に汗をかかないとそのレベルは簡単には高まっていかない。
独立創業をして、社長になった当初の仕事の大半は戦術が中心となる。このため戦術に詳しい社長はとても多い。しかしながら戦略は戦術の延長線上にはない。
勤めていた時にいくら優秀な営業マンであっても、独立して上手くいくかというと、必ずしもそうなるとは限らない。何故なら効果的な営業地域や客層の決め方、見込み客発見の仕方、ファンとなって頂く顧客維持活動、組織の作り方など経営全体の仕組を構築するには別の知識、能力がいるからだ。
そして戦略とは一体何なのか、分かりやすく教えてくれところを知らないため社長の中には、営業や販売などの戦術だけが経営である。」と強く信じ込んでいる社長がたくさん存在する。
こういう社長に限って、業績が悪くなると「社員のヤル気がないからこうなった。」 「社員が自主的に仕事をしないからこうなった。」等など、これでもかと思うほど愚痴の山積みをする。
将軍の術である戦略をしっかり理解できていないと「社員の能力が低い」と考えがちになってしまう。どれだけ社員を意識改革やモチベーションアップセミナーに参加させても効果は一時的で終わってしまう。
何よりも先に、社長自身が戦略の研究をし、これに時間を投入して効果的且つ再現性のある経営の仕組みを構築する必要がある。
いくら戦術を考えて色々な施策を繰り返していても業績はいつまで経っても良くならないどころか、社長の思いつきのような戦術ばかりがてんこ盛りになると社員は疲弊する一方となり、会社の未来は見えてこない。
戦略があってこそ戦術が活きることを肝に銘じたいものだ。