戦略日記
脱・戦術思考 #70
経営者は四六時中、思考を巡らせている。「もっと売れないだろうか。」「どうしたら売れるだろうか。」「業績アップを何とかしたい。」昼夜問わずに、ずっと考え続けている。
ランチェスター戦略において、「経営とはお客づくり」とハッキリ定義されている所以だ。
多くの経営者が考え、手をつけるパターンとして
「商品のネーミングだ。」
「商品の機能を追加しよう。」
「商品の色を変えてみよう。」
「もっと多くの種類やサービスを増やそう。」
「ホームページを変えよう。」
「もっとデザインを良くしてチラシを打とう。」
「Youtube動画をやってみよう。」
「Instagramがいいらしい。」などなど、挙げればキリがないほどの施策を打ち出す。
これらは全て戦術だ。
「戦術は戦略に沿う。」という格言の通り、商品やサービスの色や形、機能、性能、サービスをどれだけ取っ換え引っ換えいじり倒したところで、一時的な瞬間風速は上がるかも知れないが、一過性で終わってしまい長続きはしない。
これら戦術をいくら駆使しても上位にある戦略が高度に設定されていないと効果は出ないのだ。戦略設定がされておらず、戦術ばかりに目がいく経営者に社員は振り回され、社内は混乱する。
なぜ、このようになってしまうかと言えば、戦術は目に見えるものでわかりやすいからだ。ここを触っていれば安易で仕事をしている実感がするので、経営をしている錯覚に陥ってしまう。
そして、時に「顧客第一主義」のような経営の勉強会へ出向いて学んで帰ってくると「そら、お客さんが一番だ。大事だ。」となるのだが、結局、戦術のことばかりを考えてしまっているとお客さんが大事だと言いながら、実は考えていない結果になってしまう。
なぜなら「誰に何を」の一番、肝心要となる「誰に」の客層戦略が設定されておらず、自社都合のモノ売りになってしまっているからだ。
メッセージコピーや広告物、チラシ、ホームページもSNS活用など全ての戦術は上位の「誰に」という戦略によって決まる。これが為されないと、大切だと言っているお客さんに刺さらない。いつまで経っても売れない。
チラシなど広告物は、目を覆いたくなるような痛いものが目立ち、「いくらやっても効果が出ない。」と結論づけ、また新しい戦術はないかと疲弊と徒労の旅へ出て行く無限ループの繰り返しとなる。
昔、「お金で買えない価値、プライスレス」というCMがあったが、目に見える戦術より、目に見えない戦略こそ企業価値を高めていく。