戦略日記
引き算経営はインパクトが強い #69
「すべてのお客さんの要望をかなえたい。」
みんなの要望に応えようとすると、足し算が進み商品・サービスが増殖していく。
結果、品揃えに特徴がなくなり在庫も膨らんでいくことになる。お客さんは、どれを選べば良いかわからなくなり離脱していく。お客さんの要望に応えてきたつもりが逆に「お客離れ」になってしまうのだ。
すべての人々に好かれる企業は存在しない。
誰にも嫌われない=誰からも好かれない
すべての人を対象にすると、誰からも受け入れられなくなる。軸のない「顧客第一主義」は危険となる。安易に合わせるのではなく、客層戦略によって軸をもって応えていく必要がある。
ブランディングでは、コンセプトとなり「ブレない軸」と呼ばれている。
Q. 下の絵でどちらの風景にインパクトを感じるだろうか?
おそらくAの方がインパクトが強いと答える人が多いと思う。
人々の心に響くのは、樹木が生い茂る森ではなく、たった一本の木だ。
うっそうとした森では、数多の植物が群生し、場所によっては他の植物の陰になってしまい、日が当たらない。やがて森の中で生きられなくなってしまう。
顕著な例として、多くの中小企業のホームページを見てみると、森の中に迷い込んでしまうように「あれもやります。」「これも出来ます。」と溢れるほど情報掲載となっている。
中小企業経営(弱者戦略を前提)では、このように森から林を引き算して、木にしていくことが重要となる。こうすることでお客さんにハッキリと明確に、インパクトを価値として提供できるようになる。
経営は、いい時ばかりではない。むしろ、逆風や失敗の時の方が多いのだ。当初、計画したバラ色のイメージは、あっという間にどこかへ消えてしまう。だからこそ足し算経営ではなく、引き算によるインパクト(尖り)が必要なのだ。
引き算は、ネガティブなイメージを持つかも知れないが、とんでもなく逆であり、インパクトは文字通り力強さとなる。「何があっても、これだけはやらない。」やらないことを明確にしておく。そして、これを社員としっかりと共有する。こうすることで企業の価値へと昇華させていくことができる。