戦略日記
日常の中から戦略眼を鍛える #67
日常の中から物事を学ぶことは実に多い。
特に戦略経営者にとっては、日々の出来事から戦略思考を鍛える習慣が大切だ。
こんなことがあった。朝から夕方までの講習に参加した。大勢の受講者が終了して建物を出ようとした時、雨が降っていた。一部の人が「なんだぁ。雨降っているじゃないか。困ったもんだ。」と愚痴っぽく、吐き捨てるように言ったのだ。
この方は、大変気の毒であるのだが、今どき天気予報はスマホで普通に把握できる。余談であるが、アップルウォッチをつけているとリアルタイムで天気の変化がわかる。
私の場合、出かける前に必ず天気予報を見る習慣がある。午後3時頃から雨が降る予報だったので折畳み傘を持参して事無きを得た。
このような些細なことでも戦略の差が生まれてくると感じる。
戦略の要諦は、事前の段取りや仕掛けごとをつくること。そして、これらを仕組みとして機能させることだ。要するに事前の準備や調査がいかに重要かということに尽きる。
敵(競合)と戦う戦場(市場)に出向く前に、戦場の気候はどうなっているのか。暑いのか、寒いのか。雨が良く降る地域なのか、雪が降っている豪雪地帯なのか。このような環境によって、兵(従業員)の装備や武器も大きく変わってくる。
酷寒の戦場へ夏の装備で戦わせる将(社長)はいないはずだ。
事を起こす前には必ず準備が必要となる。これには洞察する眼を鍛えることが重要だ。洞察とは「物事の本質を見抜く力」である。よく「観察」と似た意味で捉えられることがあるが、観察はあくまで「表面的な部分を注意深く見る」行為となる。洞察は、「表面的な部分」を含め、さらにそこから「見えていない部分」まで見抜いていくことだ。
洞察する眼を鍛えるためには、普段から身の回りで起こることに対して
(1) 「自分には関係ない」で済まさずに、立ち止まって情報を集める習慣を持つこと。
(2) さらにもう一歩踏み込んで「〇と△は関連した話なのではないか」など、自身の解釈も加えていくようにしてみる。
日常生活の中で起こる問題やニュースについて、漠然と眺めるのではなく「なぜそのようなことが起こっているんだろう」と考えるようにしていく習慣をつけると良いだろう。
例えば、街中に溢れている建物や会社の看板をつけて走っている社有車、店内の造りや雰囲気などを洞察して見てみると面白い。
この店や会社の戦略はどのように設定してあるのだろう。客層戦略は誰だろうと思考を巡らせるのだ。これは、他社のホームページを見ているときにも同じようにトレーニングしていくと良い。常に戦略思考と戦略眼を鍛えていくのだ。
段取り八分、実行二分。計画は綿密周到にせよ。
誰もが急に戦えと言われても、準備なしでは戦えない。戦ったとしても必ず負けることは目に見えている。