戦略日記
中小企業が永遠の愛を誓う #66
「死が二人を別つまで、愛し続けることを誓いますか?」 結婚式でお馴染みの誓いの言葉だ。
結婚は、お互いに人生の苦楽を共にして行くという約束をすることだ。誓いの言葉は、この約束を家族や親戚、友人などに広く知らしめる役割を担っている。
企業経営にも似たように「ゴーイングコンサーン(Going concern)」という誓いの言葉がある。
ゴーイングコンサーン(Going concern)とは、「継続企業の前提」とも呼ばれ、企業が将来にわたり存続し、事業を継続していく前提のことを言う。
今年も、来年も、5年後も10年後も可能な限り、経営を永続的に継続していくことは、顧客や取引先、株主、雇用した従業員との関係を維持する大前提となる。
よって「ゴーイングコンサーン」という「永遠の誓い」を立てる必要があるのだ。
しかしながらゴーイングコンサーンは「誓い」であり、市場や社会に対して、実際の婚姻届のように書類として明文化された契約とはなっていない。
株式公開をしている企業は、財務情報などの作成、開示を特に重視される。これは、中小企業のように銀行からの資金調達がメインのような間接金融ではなく、市場の投資家から資金を募る直接金融だからだ。
決算などの財務情報は、その企業の株主や株式の購入を検討している投資家にとって極めて重要な情報だ。企業が一年以内に大幅な赤字や債務超過に陥る可能性がある場合などは、ゴーイングコンサーンが脅かされる状況ということで投資家に知らせる必要がある。
これら株式公開をしている企業は、経営戦略を常に考え続けている。
これがスタンダードとなっている。何故なら、前述の通り、社会に、市場に、顧客に、投資家に、取引先に、社員に重大な責任があるからだ。
インフレ元年と言われている。30年間続いたデフレ経済は終焉を迎え、あらゆる物価は高騰している。このままでは、原価が増え粗利益は減少していく。中小企業を取り巻く環境は益々、厳しくなり、今まで通りに「数を追う経営」だと存続すら危うくなってしまう。
市場、顧客に支持され続け、未来永劫となる高度な戦略構築が急務となってくる。そうでなければ、戦略なき企業は市場からNoを突きつけられることになってしまう。
ゴーイングコンサーンは、企業にとって永遠の誓いとなる。戦略を駆使して、この誓いを守り続けることが重要不可欠となる。