戦略日記
社長の本当の役目と責任 #59
経営戦略や経営の仕組み(システム)は、色や形がなく目に見えないものです。
これらが上手く作られて、実際に機能しているのかどうかがハッキリわかりません。何となく経営という言葉に惑わされて、ぼんやりしているのが中小企業の実態だと思います。
経営が難しく、なかなか思い通りにならないのは、このためです。
経営システムの有効性を知り得る唯一の方法が利益です。
利益は経営システムの有効性を確かめる証拠となるので、社長は、利益という証拠を見ながら自社の経営システムを常時改善していかなければいけません。
経営の改善を実施していく場合、まず現状分析と調査から入ります。これをしないまま、新たなことをやろうとしても上手くいかないことの方が多くなります。そして根拠がないと、いつまで経っても不安になってしまいます。
業績の良くない社長ほど客観的に会社の現状を把握しておらず、自社の本当の改善点や経営課題の設定が的外れになっているケースが多いものです。これでは将来のビジョンどころではありません。
現状分析と調査は、社員一人当たりの粗利益で大枠をつかみ、経営システムを細分化して地域や商品等の損益や市場占有率を出していく必要があります。
会社にとって正しい経営とは、経営活動において利益が出る瞬間はどこにあるのか、どんな時に利益が出るのか考えれば、すぐに分かることです。
経営戦略が間違っていると、間違ったことを戦術として全社、全員で実行することになるので、業績は当然悪くなってしまいます。
こうなった場合、9割は社長の責任です。しかし、戦略がわかっていないと会社の業績は、社員の自主的な仕事ぶりで決まると考えている社長が少なからずいます。
「自主性を尊重する」といった言葉に依存する社長の甘えと言えます。
社長の本当の仕事は、戦略の語源が示しているように、会社として全体の勝ち方や業績の上げ方やそのルールとしての流れを作り、普通の社員でも成果をあげる経営システムを作り上げることです。そして戦略、戦術、収益計画や理念、志に至るまで、全てにおいて根拠が必要となります。
曖昧なことを明確にする。
この社長としての役目の認識が間違ってしまうと、自主性という言葉で結果的に社員に責任を押しつけてしまっている無責任社長と言わざるを得ません。