戦略日記

小さくてもNo.1になる #56

小さくてもNo.1になる #56

鶏口牛後(けいこうぎゅうご)という中国戦国時代の教えがあります。

「鶏口」は、鶏のくち、頭(あたま)のこと。「牛後」は、牛の尻(しり)。「後」は「后(=尻の穴とする源説がある)」に通じるので、肛門(こうもん)を指しています。

強い勢力のあるものにつき従うより、たとえ小さくても独立したものの頭(かしら)となれということです。

ランチェスター戦略に置き換えると、どんなに大きな市場規模の業界にいたとしても、ビリの方にいれば牛の尻と同じということです。

しかも業績は赤字が毎年続いているとか、競争相手が市場に多数存在していて差別化、独自化が出来ていない。または出来にくいとなれば、残念ながら牛の尻についた糞クズと変わらない存在となってしまうといういわれです。

市場規模が大きくなると多数の競争相手が参入し、中には強大な競合相手が出てきます。これが市場の競争原理ですので、先ず弱者は大市場を避けるべきで、市場規模が小さな市場でトップを獲ることが大前提となります。

蚊取り線香で有名なKINCHOは明治時代に創業して防虫の研究を始めました。当時を思うと、防虫のことなど誰も考えていなかったのではないでしょうか。

金鳥の創業者である上山英一郎氏は、「鶏口牛後」を信条としています。

業界の先駆者として「鶏口」になるべき自覚と気概を持ち、品質をはじめ、あらゆる面で他より優れたトップの存在であることを願い、決して「牛後」となることがないよう自戒を込めた決意にほかなりません。今後も常にメーカーとして、品質、信用、経営どの角度から見てもナンバーワンであることを追求してまいります。
(金鳥のホームページから引用)

業界の先駆者として、小さな分野ですがトップであることに拘り、常に鶏口となるよう鶏を会社のロゴにしたのです。

これまで多くの中小企業は、大企業のビジネスモデルを真似る勉強をしてきました。売上が大きくなくて良いのです。社員が多くなくても良いのです。規模の大きい小さいは問題ではないのです。

大きな市場で小さなシェアより、小さな市場でも良いので大きなシェアを獲得することに経営パワーを集中することが定石であり、No.1への近道となります。