戦略日記
経営理念を戦略から導き出す #32
あなたの会社の経営理念は、しっかりと効果を発揮していますか?
・経営理念を、なんとなく作ったまま。
・立派な経営理念の言葉を掲げたが、それでおしまい。
という形骸化した経営理念になってしまっていると聞くことがあります。
経営理念の作成においては様々な観点があります。会社の「目的」とは、会社が最終的に実現したい到達地点です。そして、会社の「存在意義」とは、会社が存在していることの意味や価値観であり、会社で仕事をしている喜びや楽しさ、そのものと言えます。そして経営理念の根底には、経営者の倫理観、人生観、価値観があります。
経営理念による会社作りをするには、漢方薬のように経営理念を社内にじっくりと時間をかけて浸透させていく必要があります。また、経営者の持っている「倫理観、人生観、価値観」を社内に染み込ませるには、経営者の誰にも負けない「強い願望」や「強固な信念」が必要と言えます。この願望はランチェスター戦略において最も重要な位置づけとなっています。
中小企業において、経営理念の活用が進まない一つの理由は、経営理念と類似する言葉が多くあり、言葉の定義も曖昧で、経営理念自体が分かりにくいことになってしまっていることが原因と考えられます。経営理念の意味自体がぼんやりとしていることや経営理念と類似している言葉が多くあることも原因の一つであると思います。
・経営理念 会社の目的や存在意義
・企業理念 企業全体の価値観
・クレド 価値観を具体的な行動にまで落とし込んだもの
・行動指針 経営理念を実現するための行動を示す指針
・社訓 全従業員が守るべき指針
・社是 会社が正しいと考える方針
経営理念の作成にあたっては、先ず最初に、やりたい思いを考える前に「これだけは、絶対にやりたくないこと」「やらないこと」を明確にすることをお勧めします。自分の価値観が明らかになります。
例えば
「人間関係を築けない人とは付き合わない」
「他人の責任にする人とは取引しない」
「自分の意見や主張を一方的に押し通す人とは付き合わない」
「下請け仕事はしない」
「売り込み営業はしない」などなどです。
最初に経営理念の作成から始める経営者が一般的ですが、ランチェスター戦略において最も重要な 3大戦略を設定した後で、経営理念をつくることをお勧めします。特に3大戦略の「客層」を重要視します。「誰に」貢献するのかという点です。これは経営理念だけに留まらず、実戦の戦術展開でも大切な要素となっていきます。
例えば、戦術の中の社員教育です。誰にという「客層」がハッキリすることによって、どこの会社もが行う画一的な研修やトレーニングではなく、そのお客さまに対するための研修や勉強を行う必要があり、内容も具体的になるはずです。実際の客層と違った研修を一所懸命行っている企業がありますが、これでは成果に繋げることが難しくなります。
すべては3大戦略の設定を基軸とするのです。ここから導き出される観点で経営理念を見直してみてはいかがでしょうか。