戦略日記
学びの深堀りと実践が優勝劣敗となる #231

中小企業の経営者の中には、「経営の勉強」と称して、さまざまなセミナーや異業種交流会、経営者団体などに属する方が少なくありません。もちろん、外部の知見を取り入れることや人脈を広げることは経営にとって一定の価値があります。しかし、それが「あれもこれも」の学びになってしまい、勉強しているつもりで満足しては本末転倒です。
なぜなら、経営の本質とは「選択と集中」にあります。戦略とは「何をやらないかを決めること」とも言われるように、経営者の判断軸は常に“絞り込み”によって精度を高めるものです。
ところが、学びにおいてはこの原則を度外視し、「あの人がいいと言っていた」「あの団体の雰囲気がよかった」など、感覚的な判断で次々にテーマを変えてしまう。これでは、知識は「点」でしか捉えられず、やがて忘れ去られる一過性の情報に終わります。
逆に、戦略の本質を一点集中で深掘りすれば、その知識は「線」となってつながり、やがて「面」となり、経営全体を支える構造となります。ランチェスター戦略を愚直に学び、地域戦略・客層戦略・商品戦略・営業戦略といった各分野に応用していくことで、企業の強みが理論と実践の両面から強固なものになっていきます。
蓄積された知識とは、競合他社に真似されにくい「見えない資産」です。とりわけ、中小企業の経営者にとっては、自らが持つ戦略的知見がそのまま会社の競争力に直結します。つまり、社長が一点集中で深めた戦略の学びは、会社における唯一無二の武器となるのです。
学びを“消費”するのではなく、“蓄積”する。この意識があるかないかで、3年後、5年後、10年後に突き抜ける会社になるか、その他大勢に埋もれるかの差が生まれます。
経営は、気分や空気で動くものではなく、蓄積された判断軸と戦略で勝負するもの。一点集中で深堀りの学びこそが、成果に繋がり強くなります。他社を凌駕する最短ルートとなります。