戦略日記
一年の計とPDCA #215
「一年の計は元旦にあり」は、有名なことわざです。由来には諸説ありますが、戦国時代の武将である毛利元就が息子に送った手紙に「一年の計は春にあり、一月の計は朔(ついたち)にあり、一日の計は鶏鳴(けいめい、一番鶏が鳴く早朝)に立てる」という言葉が書かれていたという説があります。
これは、年頭に目標を定め決意を新たにすることが大切であることを意味しています。経営においても、一年の計画やスケジュールを立てることが重要なことは言うまでもありません。物事は初めが肝心で、しっかりとした計画のもと着実に行うべきであるということです。
「計」は、文字通り計画の「計」であり、はかりごとの意味もあります。よく経営者の勉強会で「PDCAサイクルを回せ」と議論されることが多くあります。しかしながら、PDCAサイクルは、「言うは易く行うは難し」で、多くの中小企業ではこのPDCAが回っていない、または回せていないのが実態です。
社長に「経営計画や経営目標を覚えていますか?」とお聞きすると、「何だったかな… 覚えていない…」と苦笑いされる方が多いのが事実です。年度が替わる前に、多くの時間を費やし、経営計画を策定した後、日々の業務に戻ってしまったら目の前のことに追われてしまい、ついつい経営計画が頭の中から無くなってしまう経営者が多いのです。
計画書を作っても机の引き出しの中に眠ったままになり、会議の時だけ引っ張り出して、つじつま合わせのようになっていることは、よくある話です。
そして、何より典型的な例として、一番肝心要のP(Plan:計画)がない状態であることです。Pは経営活動でいう戦略と、これに基づく目標設定にあたります。
戦略がない状態で売上などの目標だけが掲げられても、達成する根拠がありません。他には、Pが精神論的な願望になってしまっていることも多々あります。これだとPがない、思いつきアイディアの戦術だけのDだけが繰り返される、疲弊のループに陥ってしまいます。
明確な戦略目標があるからこそ、戦術展開が可能となり、PDCAサイクルを回すことができるのです。更に大事なことは、戦略目標には必ず期限と数値目標を決めることです。これが無い状態だと消耗戦に突入してしまうことは必定となります。
新年を迎える前に、カテゴリNo.1になる戦略目標を明確にして、正しいPDCAサイクルが回せるようにしましょう。そして一年は52週ありますので、52回の戦略チェック、すなわち経営のマネジメントができるようにもしたいものです。