戦略日記

戦略は愚直さが不可欠 #213

戦略は愚直さが不可欠 #213

ランチェスター戦略を学び、自社の戦略に活かそうとする経営者の方々は増えています。しかし、思うような成果が出ないと嘆く声を耳にすることがあります。ありがちな事は、学んだ知識を自己解釈でアレンジしてしまっているケースです。

確かにランチェスター戦略は奥深く、様々な解釈や応用が可能です。しかし、基礎をしっかりと理解しないまま自己流にアレンジしてしまうと戦略の軸がぶれ、効果が出ない状態になってしまいます。

ランチェスター戦略に該当しないことを「○○戦略」と称して、言葉に何でも戦略をつけて勘違いされているのです。大抵の場合、その戦略は戦術のことを指していることが多くあります。

「生兵法は大怪我のもと」という、ことわざがあるように、中途半端な知識や技術で物事に取り組むと、かえって大きな失敗を招く可能性があります。これは、ランチェスター戦略にも当てはまります。

ランチェスター戦略は、表面的な理解だけで自己流にアレンジしてしまうと戦略全体のバランスが崩れ、期待した成果を得られないどころか、状況を悪化させてしまうことさえあります。

自己流アレンジで陥りがちな失敗例としては、「弱者なのに、強者と同じように広範囲に戦力を分散させてしまっている」二つ目は、「敵を知らず、自社の強み・弱みを理解しないまま戦略を立てている」などが挙げられます。

そして成果が出ない最も大きな阻害要因は、経営者自身の問題です。これまで多種多様なセミナーや本などで表面的な戦術の勉強を多く重ねてきたことが足かせになってしまっていることです。戦略と戦術の区別がつかず混同している思考状態から抜け出せないようです。

逆にカテゴリ1位になった経営者の話を伺うと、習ったことを素直に、愚直にやり続けている特徴があります。

日本の武道や芸事の世界で重んじられ、学びの段階を示した守破離(しゅはり)という教えがあります。
* 守: 師匠の教えや伝統を忠実に守り、基本を徹底的に身につける段階。
* 破: 基礎を土台に、他の流派や新しい技術を取り入れたり、自分なりに工夫を加えたりして、発展させる段階。
* 離: すべての型や流派から自由になり、独自の境地を創造する段階。

「生兵法は大怪我のもと」は「生ランチェスターは大怪我のもと」とも言えます。守破離と同様に、基本の繰り返しで戦略思考が身に染みるほど習慣になるようにしなくてはいけません。