戦略日記
成長とは大きくなることではない #212
企業の成長とは、単に大きくなることではありません。社員数が増えたり、売上高が大きくなることだけがすべてではなく、別の指標がとても重要です。
特に、市場占有率(シェア)や一人当たりの粗利益額です。中小企業にとっての成長の定義は、サイズを小さいままにとどめ、筋肉質になること。車で例えれば燃費の良い経営を行うことです。
多くの企業にとって、「成長」といえば売上高や従業員数の増加をイメージするかもしれません。しかし、規模の拡大だけが成長ではありません。特に、限られたリソースで事業を行う中小企業にとって、むやみに規模を拡大することは、かえって非効率性を招き、経営が疲弊し、圧迫する可能性があります。
中小企業にとっての真の成長とは、限られた資源を有効活用し収益性を高めること、すなわち「質」の向上と言えます。ここで重要な指標となるのが、シェアと一人当たりの粗利益額です。なぜなら経営は売上ではなく粗利益から賄われているからです。
シェアの拡大は、市場における競争力を示す指標であり、顧客からの支持を得ていることを意味します。一人当たりの粗利益額は、従業員の生産性を示す指標であり、効率的な経営を実現できているかを測る指標となります。これらの指標を向上させることで、中小企業は「小さくても強い」企業へと成長することができます。
中小企業の成長を車で例えるなら、「燃費の良い経営」を行うことと言えます。燃料(経営資源)を無駄なく使い、高い走行性能(収益性)を発揮し、長く走り続ける(持続可能性)ことが重要です。これが、中小企業の経営者が目指すべき成長の姿です。
具体的な取組みとして、一つ目は、戦略がない場合、往々にしてある無駄な作業を省くことです。生産性を向上させることで、人材や時間といった経営資源を有効活用することができます。二つ目は、戦略によって差別化された商品やサービスを提供することです。これは、価格競争に巻き込まれることなく、高い収益性を確保することができます。三つ目は、戦略に基づく従業員のスキルアップを支援することです。一人ひとりの生産性を向上させ、企業全体の競争力を強化することができます。
中小企業は、大企業にはない機敏性や地域密着性といった強みを持っています。これらの強みを活かし、「燃費の良い経営」を実践することで、規模の拡大に頼らずとも、持続的な成長を遂げることが可能となります。
成長の定義を「大きくなること」から「強くなること」へと転換し、中小企業ならではの成長戦略を追求していくことが、これからの時代を生き抜く鍵となります。