戦略日記
直感と熟慮の思考 #209
「水は低きに流れ、人は易きに流れる」という格言があります。
水が自然と低いほうに流れるように、人も安易なほうを選びがちであることを戒めるための言葉です。
脳科学においても、人は気の進まないことに直面すると、脳内では思考よりも感情が早く反応し、簡単なほうを選択する習性があるとされています。
行動経済学によると、人の思考には大きく分けて、直感と熟慮の二つのプロセスがあるそうです。
直感的思考は、連想やパターン認識が得意で、例えば、目の前を横切る動物が犬か猫かを判別するように、与えられた情報のパターンがどのカテゴリーに属するかを判断することです。
一方、熟慮思考は、方程式を解くときに必要な順序立てた計算やいくつかの前提から論理的に結論を導き出すことです。
熟慮的思考は、目の前を横切ったものが、ひょっとすると犬でも猫でもないのではないかと疑いを持つことと言えます。ランチェスター戦略で考えると、直感は戦術、熟慮は戦略に置き換えられます。 直感は浅い思考、熟慮は深い思考とも言えます。
市場や競合の状況を深く分析し、自社の強みを活かした戦略を策定することで、競争優位性を築き、持続的な成長を遂げることができます。
面倒な「熟慮」を避けていては、真の成功は掴めません。脳が嫌がるような深い思考を積極的に行い、戦略を練り上げることが「負けない経営」に繋がります。
そのため、パッと出た閃きに依存せず、脳が嫌がる面倒な熟慮ができる思考を働かせていきたいものです。