戦略日記
強い組織をつくるために #203
強い組織とは、理念やビジョンを明確にし、これらを実現可能にする戦略が構築され、これを共有して組織構成員が一丸となって目標達成に向かう集団です。
トップである社長は、目的(行き先のゴール)を設定し、これに向かう目標(戦略)を掲げ、実現させるために組織編成を行い、成果(業績)をあげることが重要任務となります。
組織を機能させるために、各々に役割が与えられ、責任と権限が付与されます。責任とは、与えられたミッションや任務を遂行する義務、または成果を達成する責任です。権限とは、任務を遂行するために許容される力や権利、または決定権です。
このような組織に対する定義を持たず、戦略の知識がない経営者は、組織を強くしようと考えた時に、最初に思いつくのは、コミュニケーションやリーダーシップなどの研修を行って、対策を講じることに意識が向いてしまいがちです。「対策」とは、「相手の態度や事件の状況に対応するための方法、手段」であるように、表面的な手法だけで強い組織になることはありません。
経営は、商品・地域・客層・営業・顧客・組織・資金・時間と8つの要因で構成されており、この中の組織戦略は、思ったほど重要度は高くなく、戦術にあたる要因です。「水は高きから低きに流れる」と言われるように、経営の上流にある戦略から下流の戦術まで川が流れるが如く、自然の摂理と同様に順序立てた経営システムが必要となります。
そもそもの話で言えば、組織は最初の採用段階から深く考えなければいけません。ただ「良い人だから」という属人的な部分だけにフォーカスするのではなく、明確化した戦略から導かれた人材像に基づき、求人活動を行い、選考・採用を行います。採用した人材を、それぞれの能力や適性を活かせるよう適材適所で配置し、組織を編成します。戦略に基づいた人材採用から組織編成まで一貫性が必要となります。
強い組織は、一朝一夕にできるものではありません。だからこそ、一過性で表面的な部分に翻弄されることなく長期的な視点に立ち、地道な努力を継続していくことが重要です。「急がば回れ」のことわざの通り、目標を達成しようと焦って近道をするよりも、遠回りと思えても確実な方法をとる方が結果的に早く目標に到達できることになります。
経営の基礎知識となる戦略を学び、仕組みを構築した上で、社内全体で共有する活動を重ねていく中で、コミュニケーションやリーダーシップなどの戦術が活かされるのです。
精神的側面や表面的なことだけでは、強い組織は出来ません。何がなんでもカテゴリNo.1になるという社長の強い意思のもと、先ずは、戦略を全従業員で共有することが強い組織づくりのスタートとなります。