戦略日記

信用される社長になる #182

信用される社長になる #182

私が30歳で社長に就任した当時、最初に取った行動は、「絶対にこんな経営者にはならない」という戒めの言葉を記したノートを作成し、そこに日々の反省や教訓を書き綴ることでした。

「やりたいことリスト」の作成や将来ビジョンの明確化を推奨する書籍やセミナーは数多く存在しますが、私は、「経営者として絶対にやってはいけないこと」をリストアップすることで、自身の価値観を明確にしようと考えました。

私が最も大切にしている戒めは、「約束を守る」ことです。約束の時間に遅れない、支払いの期日を厳守するなど、当たり前のことこそが、経営者にとって極めて重要な資質であると強く認識しています。仕事に限らず、友人関係においても約束を守らなければ「あの人は信用できない。」となるはずです。

約束の時間に遅刻したり、支払いを遅延したり約束ごとを軽視する経営者は少なくありません。些細な約束すら守れない経営者が、いくら経営理念を掲げ、人を幸せにしたいと謳っても絵空事のオンパレードに終始するだけです。約束も守れず、経営者たるものと言いながら勉強が大切だと言っている姿も滑稽としか言いようがありません。

「人の振り見て我が振り直せ。」他人の行動を見て、良いところは見習い悪いところは自分の振る舞いを反省し、直すべきところは改めよという教えです。さらにもう一歩深い解説によると、「他人の動作や態度で好ましくないと感じたら、その相手をとがめる前に、自分は他人に対して同じような行動をしていないか、自分のこととして省みなければならない。」とあります。

志や理念だ、戦略が重要だと語る以前に、いかなる時も小さな約束を積み重ねていくことが不可欠で、これが信用(信頼)になるので常に問い続けていきたいものです。