戦略日記
間違った目標に全力で取組む危険性 #168
目標設定が大事だといわれても、なぜ設定しなければならないのかわからないとか、そもそも明確な目標設定が為されていない経営者を見受けます。目標を設定せずに物事を進めていくというのは、目的地を決めずに歩き続けるようなものです。
目標を定めたら必ずゴールも決めなければなりません。途中のコースも不明確であれば、どこへ進めば良いかもわからないまま歩き続けても、ゴールにたどり着くわけがありません。行動を起こす場合も同じであり、何を目指すのかがわからないままでは、何をやっても、正しいのか間違っているのかすらわからないでしょう。
経営において、目標とは一般的に売上目標とか営業目標などと言っている経営者は少なくありませんが、これらの目標設定に根拠がなく、闇雲に「みんなで力を合わせて頑張ろう!」と精神的側面を鼓舞して連呼する中小企業の経営者は多く存在します。これだけで業績は良くなるはずはありません。
本来の経営の目標は、戦略の設定と構築に当たります。経営戦略は、企業の成長と成功にとって不可欠な要素です。間違った戦略を選択することは、企業に大きな損失を与える可能性があることは勿論、将来、会社の存続に大きな影響を及ぼすことを経営者は知る必要があります。
なぜ経営の目標を戦略構築とするのか。目標の前に経営の目的があり、この目的は「1位づくり」だからです。特定の市場においてカテゴリ1位になることこそ、競合他社との競争優位性が出来てお客に支持されているバロメータとなるからです。
戦略がない企業は、顧客を獲得できず、売上減少に繋がる可能性があります。更に、競合分析が不足している戦略は、いつまで経っても競争優位性を築けず、劣勢となり淘汰されていきます。経営資源に合わない戦略は、実行不可能となり経営破綻に繋がり、変化に対応していない戦略は、時代の流れに取り残され、衰退していく可能性が高まります。
経営者が集う勉強会では、盛んに「経営者とは。経営とは。」等を議論していますが、とかく曖昧になっていると感じます。本当の経営の目的は何か。経営の目標は何かをぼんやりではなく明確にしない限り、間違った目標に全社あげて全力で取り組んでしまっていることになります。