戦略日記

口先だけの経営者 #167

口先だけの経営者 #167

世の中には「すぐに行動に移せる人」もいれば、「口先だけで行動しない人」もいます。経営者においても同様で「やる、やる。」と言いながら何もしない、口先だけの人は少なくありません。

口先だけで行動しない経営者は、勢いやその場しのぎで感覚のみに頼った意思決定をしています。「まぁ、いいか。」とばかりに、楽観的に物事を考えている人が多く、これをポジティブと自己都合の解釈で勘違いをしています。もしくは、「あとで考えればいいや。」「もう少し時間が経ってから取り掛かろう。」と今という現実から目を背けてしまいます。

しかし、「あとで」と言っても最終的にやるのは自分自身ですから、何も解決に至らず未来の自分に負債を残しているだけと言えます。

これは、調子の良い時にはノリで仕事をこなすだけになってしまい、気分が乗らないと何も出来ないうえに、その場しのぎのスタイルとなるため経営の再現性が難しくなります。

更に、口先だけの経営者の特徴は、言い訳が非常に多いことです。「仕事が忙しい。」「家庭の事情で。」等など出来ない理由をトラックいっぱいになるほど山積みにします。

一方、口先だけではなく行動する経営者は、有言実行、無言実行の是非に関わらず、意思決定が極めて早く行動に移します。やらない事も素早く決めます。何故なら常日頃から、目指すべき姿(ビジョン)が明確に設定されており、現実とのギャップを経営課題として正しく捉えているからです。経営の要諦は、戦略であり戦略から導き出される戦術で成果に繋がることを知っています。

「業績が思うようになかなか伸びない。」または「赤字が何年も続いている。」場合、「戦略は目に見えないもの」と言われる通り、戦略は姿かたちがなく、掴みどころがないので、業績不振や赤字の原因が掴めません。

こうなってしまうと多くの経営者でよくあるケースは、社員の能力や働きぶりに目がいってしまい、全社員を集めて厳しい説教から始まり、それでもダメな場合は、どこからか○○コンサルタントを連れてきて従業員教育をします。他にも様々なセミナーに従業員を参加させ、最後には地獄のスパルタ研修となります。戦術は、目に見えるものなので従業員は常に見えているからです。

しかしながら、そもそも大本が間違っているので一向に会社の風土も業績も良くはなりません。これまで多くの経営者を見てきて、口先だけの経営者に多くある傾向と強く思います。

経営は、口先で上手くいくはずは到底なく、表面の体裁だけを整えるだけでは市場における厳しい競争に生き残れないことを肝に銘じたいものです。同時に、口先だけの経営者は、目の前にいる従業員からは無論、お客や取引先など周りの人々から見透かされており、知らぬは自分だけという状態に陥っています。