戦略日記

エビデンス経営 #164

エビデンス経営 #164

エビデンス(Evidence)を辞書で調べてみると、「証拠」「物証」「証言」などを意味する言葉です。ビジネスシーンにおいては、「裏付け」という意味で使用されることが多く、「今回のシステム開発に関するエビデンス(=証拠書類)を出してください。」のように使われます。また、会議の議事録やメールなど、書面で残すことを「エビデンスを残す」と表現します。

エビデンスは、医療用語や学術用語として使われており、「根拠」という意味があります。特に医療分野においては、エビデンスの固まりのような業界で薬や治療方法、検査方法などが良いと判断する際の証拠のことです。世の中には様々な分野の医科があります。全ての医科の医師は最初に、人間の身体はどのように出来ているか、五臓六腑の勉強から始めると聞いたことがあります。人間の身体の基礎知識を知ることから始めるのです。

経営も同じく、経営を実行する経営者が最も使う頻度の高い言葉は「経営」です。では、経営者が実際に「経営」と言った時、それは何を指しているのでしょうか。意外と経営者に「経営とは何か?」と聞いてもボンヤリとした答えが返ってくる事実があります。このように多くの経営者は曖昧な状態になっているケースが多く、実は「経営が失敗する大きな原因」がそこにあります。

この理由の一つは、「曖昧であるということは知らないことと同じ。」と言えるからです。経営現場で使われている言葉に曖昧な経営者は、知らないことを放置して経営のことを深く考えていません。当然、経営に対する深い理解なしに成功し続けることは出来ません。一時的な成功なら偶然によってもたらされるかもしれませんが、これには再現性がありません。会社経営は、ゴーイングコンサーンですので継続的且つ持続的な成功を得ようと思えば経営に対する知識はとても大切です。

二つ目は「曖昧な言葉は、曖昧な行動を生む。」からです。例えば「今月の目標は、集客を頑張りましょう。」と社員に伝えた時に、社内で「集客」という言葉の意味が明確にされていなければ、各人がバラバラなものを目指して行動することになりかねません。総じて中小企業は経営リソースが少ないので、少数の社員の行動がバラバラで力が分散してしまえばパフォーマンスは確実に落ちます。

このように経営とは何か。経営の目的は何か。経営の目標は何かをハッキリと定義することから始める必要があります。ランチェスター戦略では、これらが明確になっており経営の実行手順まで一貫性を持っています。

これらが明確になってから、営業活動や広告活動などへ反映させていけます。「なぜ、このホームページなのか。」「なぜ、このチラシなのか。」「なぜ、この名刺なのか。」等など、表現される一つ一つ細部に至るまで串刺しされた根拠が必要となります。

「一年の計は元旦にあり。」物事は初めが肝心であり、しっかりとした計画と準備のもと、根拠をもって着実に進める経営を目指していきましょう。