戦略日記

経営理念を差別化する #161

経営理念を差別化する #161

経営理念とは、企業が何のために企業活動をするのか、企業が向かうべき方向性を明確にするための存在意義をまとめた言葉です。経営理念には、創業時の思いや、企業としての考え方、大切にすべき価値観が込められることもあります。

経営理念は、経営者の考えや志をもとに、企業のあるべき姿を明文化したものです。企業によっては経営理念の代わりにミッション・ビジョン・バリューを設定したり、社是・社訓を定めたりしています。

経営理念は、社内に対して従業員の行動指針となったり、企業の一員としての誇りを高めたりするものです。また、社外に対しては企業のイメージアップやブランディングを図る目的もあります。

仕事柄、様々な中小企業の経営理念を見る機会があります。経営者の経営に対するあり方が示されているので、是非を問うまでもありませんが、中には、どこの企業にもあるような言葉が羅列されているケースを見かけます。

経営理念をつくることが目的となってしまい、耳障りの良い、聞こえが良い言葉を見出したのかも知れません。経営理念は「ええかっこうしい」ではありません。経営思想を具現化することであります。

大前提として、お客の絶大なる支持が不可欠となります。昨今のお客は、企業の信頼性はもとより、商品サービス、価格のみではなく共感できるか否かを重視しています。「業界の通念や矛盾、不完全な部分などを自社はどう変えたいのか。」「これがお客や従業員の満足をもたらすのか。」という視点が重要になってきます。

いわば、経営理念を差別化しましょう。

経営戦略を深く研究し続け、きちんと実践していくと強いものができて、さらに努力を続けていくと、従業員一人当たりの純利益が業界平均の3倍くらい出るようになります。この状態を連続して5年くらい続けていって初めて「経営の本質や経営で最も大事なものは何であるか。」が薄々感じてきます。ここで初めて経営理念について、じっくりと考えてみましょう。言葉遊びではない、腹の底から沸々と湧き出るものが出てきます。

人は他人を通して自分を知るように、実は会社も顧客を通してでしか、その存在価値は分かりません。つまり強い顧客の支持があってこそ、初めて存在する理由を知り、自信をもって経営理念を唱えることができるのだと思います。

「どこの誰に何を」の戦略との整合性、一貫性を持つ必要があることを忘れてはいけません。これこそが理念の差別化に繋がります。