戦略日記
事前の準備で勝敗が決まる #159
経営は戦いです。誰と戦っているかといえば競合他社です。競合とお客を奪い合っているからです。
命まで取られはしないにしても常に競合他社との真剣勝負をしていることを経営者は忘れてはいけません。こうした経営の戦いの中で、ほとんどの経営者は当然ですが「勝とう!」と考えています。
単純に勝とうと考えて、「即行動だ!」と威勢の良い中小企業経営者が多くいます。行け行けどんどんではなく「慎重に考えて戦う」ことが大変重要です。事前の段階で慎重に考えておけば、市場の中で戦う前から勝ち負けがわかるのです。
時代の流行に流されたり、何となく選んだり、自分が好きだから、得意だからと商品やサービスを決めてしまうのではなく熟慮を重ねて、考え抜いて経営をすることが必要なのです。
「算多きは勝ち、算少なきは勝たず。」これは、孫子の兵法の「計篇」にある教えです。
「算」とは、事前の計算や論理的行動計画のことです。つまり、「事前にしっかりと準備を行った方が、勝つ確率は高くなる。」という意味です。この言葉は、経営においても重要な意味を持っています。
孫子は勝算があるかどうかの重要性を説いています。実は戦う前から勝負は決まっているのです。最も重要なことは戦う前に充分な調査や分析を行うということです。戦いが始まってからでは遅く、事前の準備です。「やってみないとわからない。」「当たって砕けろ。」ではダメなのです。
経営者として勝算がもてるまで、準備を念入りに繰り返すのです。戦う市場はどうか。お客はどうか。競合他社はどうか等など戦略を考え抜くのです。戦略は知恵の勝負であり、何手も先までを読み、不安要素があったら準備をし直したり新たな準備が必要になるかも知れません。
経営理念や事業ドメインを修正する必要が出てくるかも知れません。経営者としての使命は間違っていないか。外部の経営環境を把握しているか。競合ライバルの動向を掴んでいるか。経営者としての能力を高める習慣を続けているか。
「これだけ準備をしたから負けそうにない。」というレベルまで準備を重ねなくてはいけません。少しでも「負けるかも知れない…」「勝てそうにない…」と感じるのであれば、準備不足と言わざるを得ません。
勝算のイメージがもてるまで準備に準備を重ねるのです。何故なら経営は戦いであるので、段取り、準備不足によって大切な社員が疲弊に追い込まれたり、資金を無駄に消耗したり等、会社の生命(存続)に大きな影響を与えてしまうからです。