戦略日記
賢者になるか愚者になるか #158
賢者とは、一般的に「知識・知恵が豊かで、物事を見通しよく理解している人。」を指す言葉です。賢者の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
●広い知識や教養を持っている
●物事の本質を見抜く洞察力を持っている
●論理的思考力や判断力が高い
●物事に対する正しい価値観を持っている
一方、対義語である愚者とは、一般的に「知識・知恵が欠けており、物事を見通しよく理解していない人。」を指す言葉で、愚者の特徴としては、前述の全く逆となります。
ある銀行が「倒産原因」を調査し、それをランキングにまとめました。銀行側が企業(社長)を見た場合の1位は「知識不足」で、社長が自らの企業を見た場合の1位は「売上不足」でした。
社長側からみた場合と銀行側からみた場合で、大きく隔たりがあったのは、売上(不足)なのか知識(不足)なのかの違いです。正に社長が経営するための知識が足りないという結果です。
社長に必要不可欠な知識とは、戦略です。経営戦略とは、「企業が経営環境の競争の中で、継続・発展・継承するために構築する事柄、またはそのシナリオ」のことです。経営環境は日々めまぐるしく変化します。政治的・経済的な状況や自社の経営資源・競合の動向・お客や市場のニーズの多様化に至るまでさまざまです。
このような変化の激しい時代に、経営を効率化する戦術だけでは、企業間競争に勝つことはできません。効率ではなく、効果性のある戦略を構築することが必要となるのは当たり前の要件です。
愚者と言える社長は、経営の知識を知らずに、または知ろうともせず過去の経験や感覚、直感的なフィーリングに依存して経営を行います。社長の知識不足は、経営活動において不利になることは自明の理であり、会社の存続に対して致命的な影響を及ぼすことになります。
「経営は知識の差。知識の差は社長の差」となります。知識は、誰でも得ることが可能です。社長は経営戦略を学び続け、日々ブラッシュアップし続けることが最も重要な仕事の一つです。社長にとって戦略を知らないという言い訳は許されないのは勿論のこと、知識の差が経営成果の善し悪しに大きく影響を与えます。
賢者になるか、愚者になるかと聞かれたら、ほとんどの社長は「賢者になる(なりたい)。」と答えるかと思います。賢者は、何事からも学ぶ(学ぼうとする)者で、対して「愚者」とは、何事からも学ばない(学ぼうとしない)者です。両者の違いは立場によるものではなく、賢者になるということは社長としての生きる姿勢を問われているのです。