戦略日記

可処分時間の戦略 #148

可処分時間の戦略 #148

可処分時間とは、個人が自由に使える時間を指します。1日24時間のうち睡眠や食事、仕事(通勤)といった、生活に欠かせない時間を差し引いた残りの時間がこれに相当します。

総務省の調査によると、生活時間から1次活動(睡眠や食事)2次活動(仕事や家事育児)を抜いた時間は、1日平均で約6時間20分になるといわれています。現実は、もっと少ないかも知れません。

企業はこれまで、市場競争において様々な方法で「可処分所得」を奪い合ってきました。可処分所得とは、給料でもらうお金から税金や社会保険料を引いた手取りの金額のことです。

例えば、冷蔵庫を買うとなった時、メーカーは魅力的な品質やオプションをつけて競合メーカーに負けないように差別化を行います。消費者の可処分所得の範囲で、「冷蔵庫を購入する。」というきっかけがあったうえで、他のメーカーに負けないようにするというお客の奪い合いが生じるのです。

従来、お客の購買行動としては、欲しい冷蔵庫の情報を知り、店舗などへ出向き、店員から説明を受けて購入するのが一般的なパターンだと思います。約20年前からはインターネット、スマートフォンの普及により、人々の可処分時間の使い方が多様化しています。従来は、テレビや新聞といったマスメディアが主流でしたが、現在は、SNS、動画配信サービスなど、さまざまなメディアが当たり前になっています。

人が費やす時間にスマホ操作という行動が増え、全てが完結できるようになり購買行動が変容しました。お客の「可処分時間」が重要視されるようになったということです。

企業は、顧客の可処分時間を獲得するために、さまざまな戦略を展開しています。例えば、次のような戦略が挙げられます。

顧客のニーズを把握し、それに合ったサービスを提供する。
顧客の興味・関心を引くようなコンテンツやサービスを提供する。
顧客の行動を分析し、効果的なアプローチを行う。
競合他社との差別化を図る。

ここでの可処分時間を考えた場合、最も重要なことは、あなたの会社にとって「顧客」とは一体誰なのかということです。誰でもOKということではなく客層戦略をしっかり定義して的を絞るということに尽きます。

この客層に向けたアプローチをすると決めることで、多様なメディアの中から何に力を注げば良いかを選択することになります。「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。」かの如く、誰でも何でも売れれば良いという考えでは到底、持続可能な経営は難しくなります。

一方、経営者として可処分時間を何に対して、どのように使うかということも戦略的に大変重要になります。時間は無限にはないからです。