戦略日記
戦略の成果は時間がかかる #133
経営戦略は、企業が目標達成や競争優位を獲得するために採る戦略的なアプローチであり、外部環境の分析や内部資源の評価などを通じて、長期的な目標の設定と実現に向けた計画や手段を策定することです。
策定の手順として、最初に企業の現状や競争環境の分析が必要です。
外部環境の変化や市場のトレンド、競合他社の動向などを把握し、企業の強みや弱み、機会や脅威などを自己評価します。また、内部の資源(ヒト・モノ・カネ)や能力、組織の文化なども考慮に入れる必要があります。
二番目に、このような分析を通じて、3年から5年後で自社がカテゴリ1位になると目的設定を行い、企業のビジョンやミッションを明確にし、具体的な目標を設定します。三番目に、目標達成のためにどのような戦略を取るかを検討し、戦略の優先順位や具体的なアクションプランを策定します。
しかしながら経営戦略の成果を実際の結果として得るまでには時間がかかることがあります。経営戦略は長期的な目標を達成するために策定されるものなので、その成果を実感するには時間と忍耐が必要となります。
経営戦略の成果が結果に現れる時間がかかる理由をいくつか説明します。
(1) 経営戦略は、会社全体や組織内の変化をもたらすことがあります。先ず経営に戦略を導入することで組織文化の変革が起きます。経営戦略の要素が浸透し、組織全体での理解と実践が進むまでには、従業員の教育やトレーニング、変化への適応期間が必要となります。
(2) 経営戦略の成果は、外部の市場状況や競合環境の変化にも影響を受けます。市場の反応や顧客の反応が予測通りでない場合、戦略の結果が目に見える形までには時間がかかることがあります。特に競争が激しい市場や変動が激しい業界では、結果を得るまでの時間が、より長くなる可能性があります。
(3) 戦略的な取り組みや投資が徐々に成果を上げ、相乗効果が生まれます。このため、初期の段階では目に見える成果が限定的であり、継続的な取り組みと時間の経過によって成果が蓄積され、より大きな効果が現れることがあります。
経営戦略は長期的アプローチが必要であり、成果実現には時間がかかるのです。よくあるケースとして、簡単に成果に現れないので継続しない経営者が多く、目に見える戦術の連発で何とかしようとする経営です。
これでは、経営資源の疲弊は免れずゴールのないマラソンをひたすら行うことと同じになります。
経営者がカテゴリ1位になる目的を覚悟をもって設定し、巷の流行の経営手法に一過性として流されず粛々と進めていくことが重要です。プロスポーツのように1位になることは困難であり並大抵ではありません。このために選手たちは涙ぐましい鍛練を重ねているのです。