戦略日記
「企業は人なり」の人は社長である #124
「企業は人なり」と言われて久しく、多くの中小企業経営者は、「優秀な人材されいれば…」と人に関する悩みや課題は尽きることがありません。
企業は人なりの格言は、経営の神様と称された松下幸之助氏が言ったと伝えられています。企業は働く人の人格や姿勢で善し悪しが決まるということだと思います。これは松下幸之助氏が起業して苦労の中で培った稀にみる人格者であり、人としての在り方の模範であったからだと思います。
もちろん、企業は人の存在で成り立っていますので、「人が大事ではない。」ということではありません。むしろ逆であり、良い経営の仕組みがなければ、人を活かすことが出来ないということです。
「経営とはお客づくりである。」という本質を考えてみると、社長は本来、視点を社外の顧客や市場、競合の動向に目を向けるべきですが、人の問題が絶えないため、ついつい社内に目がいってしまいがちの方が多いのだと感じます。
なぜ大半の中小企業では「人に関する問題」がなくならないのでしょうか。それは、「人材依存」で経営が行われているからです。大手など業績の良い会社は、経営のシステムとして「仕組み依存」なのに対し、大半の中小企業は「人材依存」なのです。
人材依存とは、社員の能力やスキルに依存する属人化、社員依存とも言えます。
「経営とは人を通じて仕事を進化させることではない。仕事を通じて人を進化させることである。」(出所不明)
仕組み化は決して人材を軽視していることではありません。経営戦略に基づく仕組み化が出来ていれば、これらは人を縛るものではなく、社員たちの能力を成長させ、且つ最大限に発揮されるものになるということです。
会社は人で決まるということは明らかですが、人とは社員のことを指し社員教育などに関して使われがちです。実際の人とは、社員のことより真っ先に、会社の運命を左右する重要な戦略をつくる、紛れもなく社長自身そのものであります。
業績に与えるウェイトは、願望(志、理念など)、目的、目標、戦略、仕組みづくりまでが86%であり、部長や課長が担当する作戦を除くと社員が実行する戦術は僅か7%です。
社員10人までの会社の戦術は、社長が戦略と戦術をほぼ100%担当しています。11人から30人までの会社は、戦術の3分の2は社長が支配しているので業績の98%は社長の実力ということになります。
企業は人なりの根本は、「社長自身が実力を高めよ。」ということに尽きます。