戦略日記
引き算戦略の恐怖 #92
何かを始める決断より何かをやめる決断の方が大変であると思います。
何かを次々に足していく「足し算経営」より、一つに集中して削ぎ落としていく「引き算経営」の方が難しいということが言えます。
物が溢れ豊かになった時代、放っておくと自然に足し算が進んでいきます。
引き算戦略の成功の鍵は、何が不要かを見極める判断力とNOと言う決断力とこれをやり遂げるという実行力が欠かせません。
引き算戦略の恐怖は、主に三つほど考えられます。
一つ目は、幅広く提案できないと顧客の多くのニーズに対応できなくなり、獲得が難しくなるのではという恐怖です。
顧客ニーズの多様化が進んでいるこん日で、そもそも幅広く対応しようとする発想自体が危険と思います。何故なら、幅広いニーズに対応しようとすると誰のニーズにも対応できなくなるからです。
商品・サービスのみならず顧客ターゲット(客層戦略)についても引き算が必要となります。これはペルソナが重要だという所以です。
二つ目は、顧客に飽きられないだろうかという恐怖です。
経営者の考えは、引き算=飽きられやすいと思う人が多いと感じます。果たして飽きに対応するのは足し算でしょうか?
飽きに対応する必要があるのは、強みを磨き続けていく進化です。考えに考え抜いた引き算は、シンプルで深みが増し飽きが来ないのです。良い引き算は研ぎ澄まされていき、普遍性が高く流行に流されないため長続きします。正に Simple is best. です。
三つ目は、売上がなくなってしまうのではないかという恐怖です。
そもそも、引き算戦略は一か八かで行うギャンブルではありません。明確な顧客価値を裏付けとして、何かに経営資源を集中させていくことです。
広げれば売上確保ができて、足し算をしておけば安心という発想の方が、経営資源が分散してしまい危険となります。
もちろん何も考えず、単純に引き算をすれば良いというものではありません。引き算にはリスクが伴います。リスクなしで顧客の心を掴めるでしょうか?
リスク無しで成功するビジネスができるほど経営は甘くないと思います。
絞らないから何も掴めない。あやふやでボヤけているから的とならない。的がないから狙えないと言えます。