戦略日記
社長の三原則 #90
帝王学の三原則というものがあります。
王家や皇帝、伝統ある家系など特別な地位の人が、幼少期から家督を継承するまでの過程において特別な教育を受けることです。一言で表すなら、「人の上に立つ、人のための哲学」といえるかもしれません。
これを経営に置き換えると社長の三原則となるでしょう。
共通する原則は大きく分けて3つ存在するといわれています。
(1)原理原則を教えてもらう師をもつこと
原理原則とは何でしょうか。昔は通用したが、今では通用しないという考えでは、原理原則としての価値はありません。いついかなる時代や状況でも、普遍的に通用するのが原理原則たるゆえんであり、それを教えてくれる師をもつことです。
(2)直言してくれる側近をもつこと
今でいえば社長の右腕や役員、幹部にあたります。部下も含まれるでしょう。社長のことを思い、諌め言を意見具申してくれる側近です。
(3)よき幕賓をもつこと
「幕賓」(ばくひん)とは、出仕することを好まず、一種の浪人的風格と気骨をもった人物のことで、現在で例えるなら、「顧問」「社外重役」です。あるいは身近な友人も該当します。ただ楽しい時間を共有するだけのような友人は含みません。
人間は何かを判断する時、既に持っている自分の知識や経験から判断します。しかし、一人の人間が得ることのできる知識や経験には限界があります。「自分と違った知識を持っている人、自分と違った経験を持っている人」このような人たちのアドバイスが重要です。
天下人となった豊臣秀吉に、竹中半兵衛と黒田官兵衛という名軍師がいたことは有名な話で、経営者やトップリーダーには軍師が必要です。社外取締役やアドバイザー、顧問など呼び名はさまざまですが、良き相談役にあたります。
これら三原則に該当する人物はいますか?
「本音を話せる」「盲点に気づかせてくれる」「視野を広げてくれる」など、経営者やリーダーにとってありがたい存在となります。
良き社長は、「普遍的なことを学び、人の意見をしっかり聞く力」が重要という教えになります。
ややもすると社長は、自分の都合の良いようにヒト・モノ・カネを揃えられますので、この三原則を戒めとして「裸の王様」にならないよう自らを律する「自律」を垂範できる人でありたいものです。