戦略日記

縦の成長を追求する #89

縦の成長を追求する #89

引き算の戦略を成功させるには、横の成長ではなく、縦の成長を追求していくことが鍵となります。

足し算企業が沈んでいく理由の一つに、足し算が進んでいくと競合他社と被る領域が増えていくので競争条件が厳しくなっていくことにあります。

足し算を拡げれば拡げるほど、競合他社との重なりが出来てしまいます。

つまり、足し算の経営は自ら競争を促進させてしまうのです。

競争が厳しくなると、価格競争に巻き込まれやすくなります。コモディティ化です。

コモディティ化とは、市場参入時には高付加価値の製品やサービスと認識されていたものが、市場が活性し、他社が参入多数となり顧客にとって機能や品質などで差がなくなってしまうことです。

コモディティ化が起こると、付加価値で差が生まれないため低価格競争が余儀なくされ収益は減少していきます。

足し算企業は儲かりにいと言えます。

行き着く先は、競合他社との熾烈な競争であり、最終的に勝つのは、ごく少数で規模の大きな企業となります。

加えて足し算企業は真似されやすく、一時的に成功しても経営資源に余裕のある競合他社に模倣されてシェアを奪われてしまいます。(ランチェスター第二法則)

一方の引き算の戦略においては共存が可能となります。

それぞれの企業が戦略に基づき引き算をして深さを追求していくと競合他社との重なりが生じにくくなります。

引き算の競争においては、小さくても個性があるものが生き残っていくことが出来ます。

更に引き算の戦略は、それぞれの企業がカテゴリごとの棲み分けに繋がっていくので社会に多様性をもたらすことも出来ます。多様性は、地域や社会を活性させる源泉となります。

事業分野や顧客ターゲットを引き算している企業ほど競争企業が少なくなることは明白で、引き算の戦略で倒産した話は聞いたことがなくても事業領域や商品・サービスの拡大といった足し算で消えていった企業は覚えがあると思います。

たとえ規模が小さい企業でも縦の成長を追求していくことにより強くなっていきます。