戦略日記

経営の原理原則を知る #63

経営の原理原則を知る #63

何事にも原理原則があり、もちろん経営にも存在します。

原理原則とは、物事を成り立たせる根本的な決まりを社会に適用するために決められた規則のことです。簡単に言えば「なるほど、これを成り立たせているのは、こういう性質なのか。」「じゃあ、こうしていこうか。」ということです。

経営の要諦は、良いお客さんから支持をいただくことを前提に、「利益を増やす。」「利益を出し続ける経営者になる。」です。

「売上を増やす」ではありません。ここが一番誤解されています。「販売個数が増えそうだから値引きをします。」という動機です。これは違います。利益が増えるかどうかなのです。

そもそもPQ(売上)は、P(単価)×Q(数量)となります。これしかありません。P(単価)を犠牲にして、値引きをしてQ(販売数量)を増やせば、結果的に利益が増える(はず)。これが値引きの目的となっています。

ところが落とし穴があります。

仮に、値引きをしたことで販売数量が増えたとします。こうなると変動費(経費)が連動して上がっていきます。販売数量が増えることで、対応するスタッフの増員や商品サービスの梱包材、交通費、水道光熱費など予想以上に増えてしまいます。

社員は残業や休日出勤が増え、疲労困ぱいとなり最後には「会社をやめたい。」となります。再び採用活動が必要となり、これまた大きな経費がかさんでいきます。社員の定着率が悪い企業にある傾向です。会社は疲弊していきます。

P(単価)を上げれば、Q(数量)が下がってもG(最終利益)は残るのです。(戦略MQ会計で詳しくお伝えしています)

これは売ってる商品によっても何も変わりません。住宅であろうと、みかんであろうと同じです。この原理原則を知った上でやる値引きとそうではなく、「なんとなく」やっているのとでは長い間で大きな差が出てしまいます。これが商いの基本であり経営の原理原則なのです。

ユニクロなど市場占有率(シェア)が高い強者が戦略的に「高機能で安い」を訴求するのは、卓越した一芸です。何の戦略もなく、「安ければ、誰もが買ってくれるだろう。」というのは、あり得ません。そして、「ポイント5倍、半額セール」など、安いからと買ってくださるお客さんが固定客となることもないのです。

売上を増やすことが目的になっていると、とにかく売れれば良いので、遠方のお客さんだろうと関係なく営業マンはガソリンを使い移動を繰り返します。

驚くことに日本の宅配便個数は年間、約50億個。これは日本だけのデータです。配送方法の内訳は、トラックが47億8494万個(全体の98.9%)、航空便などを利用した運送が5153万個(全体の1.1%)。SDGsが叫ばれているのに、全体では知ったことではないと思っていることがこの数字でわかります。

一般的に、中小企業の社長は、決算書や月次試算表と睨めっこをしています。これは終わった結果であり、ましてやP(単価)とQ(数量)の中身がありません。この中身が理解できていないため、サイコロを振るような感覚になってしまいます。先を読み、戦略シナリオによる収益計画が重要です。

客観的な原理原則があるというのに、それを「見ないふり。知ろうとしない。知らない。」「私、数字やお金のこと苦手!」 これだと戦略から乖離してしまうのは必然です。

いつまで経っても結果だけに振り回され、対策は戦術ばかりとなり経営資源は分散し、会社は体力消耗をしていくだけになってしまいます。

原理原則を知り、戦略経営ができる経営者になっていきましょう。