戦略日記
間違った経営をしてはいけない #35
一般的に強者の戦略が使えるのは企業全体の0.5%しかありません。
残りの99.5%は弱者の戦略で経営をしなくてはいけません。しかしながら大半の中小企業の社長は、戦略と戦術の違いがわからないので大企業が行っている経営スタイルを目指してしまいます。
経営の勉強はとても重要です。それには正しい勉強が必要不可欠となります。
間違った経営においては大枠で以下のような事項が考えられています。
(1) 安くしないと売れないと信じ込んでいる。
(2) 優秀な社員がいないから売れない。だから猛烈な社員教育を行う。
(3) 売れるものは、どこでも誰にでも何でも売ろう。
(4) リスクを減らすために、事業は3つくらい持っておこう。
いかに売上を上げるかの経営です。売上を上げるのは実は簡単です。安売りをすれば、ある程度の売上の確保はできます。しかし、これでは利益が出ません。
社長や強い組織の実力は、一人当たりの粗利益に尽きます。何故なら、粗利益が経営の全てを賄っているからです。売上ではありません。
●純利益=粗利益−給料+その他の経費
粗利益が高くないと利益は残らず、会社の存続すら危うくなります。
激変で厳しい経営環境が続く中、社長は戦略の勉強を本気で行わなくてはいけません。しかしながら障害となる問題があります。
(1) 経営セミナーや講演、本などの内容は、ほとんどが大企業の経営や組織づくりで、これらが常識化されています。
(2) 100人以下の会社の社長に正しい経営戦略を「イチ」から一貫してわかりやすく教えてくれる場を知りません。
(3) 人はもとより自己中心的で、自分を例外にする悪い癖があります。
(4) あなたの会社は弱者なので、弱者の戦略で経営しなさいと親切に忠告してくれる人がいません。商工会議所や異業種の経営者の勉強会も通知してくれません。通知してくれれば、業績に苦しんだり、倒産する会社は少なくなります。
(5) 大脳生理学の研究から、一度間違って信じ込んだものを元に戻すには、何も知らない人へ「イチ」から教えるより、3倍から5倍の時間がかかると言われています。
こうなると根本的に間違った経営を社長自ら号令をかけて、全社一丸となってやっていることになります。従業員一人当たりの利益は一年で50万円から200万円ほど少なくなり、仮に社員が20人いれば、1,000万円から2,000万円も粗利益が少なくなります。これでは赤字になってしまいます。
しかも損が出ていても、間違った経営をしていても音がしませんので、これに気がつかず突き進んでしまいます。実は、見えないところで音を立てて崩壊しているのにです。
社長は正しい経営の勉強をする必要があり、競合他社の2倍、3倍の量が必要となります。社長の質を高めるには、経営の8大要因の戦略を中心に大量の勉強時間が必要となります。トップクラスの商品戦略をマスターするだけでも200時間から300時間が必要となります。