戦略日記
弱者の非関連多角化事業は命とりになる #26
経営力が分散する中で一番始末が悪いのは、本業と全く関係のない事業に手を出す非関連の多角化事業です。
専門にやってもそう上手くいくものではないのに、それを本業の片手間にやって上手くいく程、経営は甘くはありません。多角化した事業は、自社が本業を必死に戦っているように、競合他社も命がけでやっているのです。
このような社長は、この業種が不景気の時は別の業種で、それも駄目ならさらに別の業種で、というようにしておけば経営は安定すると考えてしまいます。そして多角化は客層が変わります。
商品変えても客層変えるな。
お客さんが変わるということは、そのような経営体制をつくり、パワーが必要となります。経営のマネジメントやハンドリング、オペレーションなど全てが客層によって変わることになります。わかりやすく言えば、人とお金と物がたくさん要ることになります。
人間の能力と時間には限りがあるので、あれもこれもというのは所詮無理なのです。
自社だけの立場で見る限り、10は10で5は5ですが、多数の競合相手がいる中では二乗比になってしまいます。戦略を研究しない社長は、この恐ろしさに気づきません。思いと頑張りがあれば何とかなると思っています。
突発的な環境変化がおこると、リスク分散の考えから事業をいくつか持っている方が良い。戦国武将の毛利元就の三本の矢に例えて、「最低3つくらいの事業を行いましょう」みたいな評論がたくさん出てきます。そもそも三本の矢は、兄弟三人力を一つに合わせれば物すごい力になる。3倍圧勝の法則を説いており、分散せよと言っているのではありません。
多角化は、確かに強者や大企業には当てはまるでしょう。しかし少ない経営資源を最大限に活かすためには、資源を集中させた方が有利で、分散は成長を抑止してしまう「集中の効果、分散の危険」という原理原則自体は変わるものではありません。本業の利益も分散、垂れ流しになってしまいます。これは商品構成にもあてはまります。
もっとも将来を見据え計画的に、関連分野で新しい取り組みをすることは、小さな会社でも必要となります。「一点突破、全面展開」です。この場合でも非関連事業を組み込む必要はありません。
小さくても良いので何かで1位になるが最重要で、本業でカテゴリ1位になっていないのに専門外の他の事業で1位になることは至難の業なのです。