戦略日記
おもちゃ遊びのような経営 #207
戦略とは、ゴールに向かう地図であり羅針盤のようなものです。目指すべき目的地や進むべき方向性を示してくれます。一方、戦術は、その地図を基に具体的にどのように進むのか、どの道を通りどのような手段を使うのかを決めるものです。
戦略なき戦術は地図を持たずに目的地を目指すようなものです。方向を見失い、迷走してしまう可能性が高くなります。一部の経営者は、目に見える戦術、特に最新の経営ツールや手法に過剰な関心を示す傾向があります。まるで新しいおもちゃを手に入れた子供のように次々と新しいツールを試しては、その効果に一喜一憂します。
このような「おもちゃ遊び」のような経営は、企業を真の成長へと導くことはできません。なぜなら、それは一時的な興奮や感動で満足感をもたらすだけに終わり、経営の成果はおろか長期的な視点での企業価値向上には繋がらないからです。
戦術偏重が生む弊害として
●場当たり的な対応: 戦略がないため、市場の変化や競合の動きに対して、場当たり的な対応を繰り返すことになります。
●資源の浪費: 新しいツールや手法を導入するたびに、時間や費用、人材といった貴重な経営資源を浪費することになります。
●社員の混乱: 頻繁に変わる方針や指示に、社員は混乱し、モチベーションが低下する可能性があります。
●本質的な課題解決の遅れ: 目先の戦術に囚われるあまり、企業が抱える本質的な課題を見過ごしてしまう可能性があります。
経営における「おもちゃ遊び」、それは目先の流行や新しい経営ツールに飛びつき、場当たり的な施策を繰り返す経営スタイルを指します。このような経営の下では、最も被害を被るのは、他でもない社員たちです。
社長の思いつきで導入された新しいツールやシステムは、社員にとって新たな学習コストを強いるだけでなく、業務フローの変更や慣れない操作への対応など、多大な負担を強いることになります。社内は翻弄され、おもちゃ遊びに飽きた社長が次の「おもちゃ」に飛びついたとき、社員たちは置き去りにされ、広げすぎたおもちゃの後片付けまでさせられる羽目になるのです。
真に持続的な成長を遂げるためには、目先の戦術に惑わされることなく、企業の本質的な価値を見据えた経営を行う必要があります。
●明確な戦略の策定: 企業の理念やビジョンに基づき、目指すべき方向性を明確に示す戦略を策定しましょう。
●戦略に基づいた戦術選択: 戦略を実現するために必要な戦術を慎重に選択し実行しましょう。
●継続的な評価と改善: 市場や環境の変化に合わせて、戦略や戦術を定期的に見直し、改善を続けましょう。
●社員との共有と共感: 戦略やビジョンを社員と共有し、共感を得ることで組織全体が目標に向かって進むことができます。
経営者は、おもちゃ遊びのような経営から卒業し、真のリーダーへと成長する必要があります。それは、目先の戦術に惑わされることなく、企業の未来を見据えなければなりません。