戦略日記

社長が混乱させている #204

社長が混乱させている #204

朝令暮改という言葉があります。朝に出した命令が夕方にはもう変更されるという意味から、方針や指示、法律などがめまぐるしく変わって定まらないことを表す四字熟語です。

社長や上司など、指示を出す立場の人の方針が頻繁に変更されることを指します。朝令暮改が頻繁に起きると、部下や現場は対応に追われ混乱が生じます。これにより、業務効率の低下、モチベーションの低下、さらには組織全体の士気低下にもつながりかねません。

思いつきの連発を社内で発してる社長を見受けます。朝礼で話して進めていくべき業務の内容が理由もなく急に変わったりする。他にも、近くにいる部下に意図や中身もなく話しかける。すぐに電話をかける等など社長の思いつきの言動が従業員の仕事を停滞させ、著しく生産性を落としているのです。

発せられた従業員はたまったものではありません。毎度、社長から思いつきの指示や話しかけられたりすることで、集中していた仕事が一時中断となってしまいます。再度、集中して仕事を再開させるには時間を要することになります。これでは生産性が高まるどころか社長自らが会社の生産性を落としていることになります。

このような朝令暮改が頻発する背景には、社長に戦略がないことが挙げられます。戦略がなく目に見える戦術ばかりを考えて経営を行っているので短期的な問題解決や思いつきで動いてしまっていることが原因となります。

戦略を持たないリーダーシップは、結果として組織全体に悪影響を及ぼします。経営の指針やビジョンが不明確であれば、現場の従業員は日々の業務に対してどのように取り組めばよいか迷うことになり、長期的な視野での成果は期待できません。

社長は、組織全体の方向性となる戦略を明確に定め、そこに至るまでの具体的な経営システム(仕組み)を構築する必要があります。

戦略が明確であれば、一貫した指示や方針を従業員に伝えることができ、混乱を防ぐことができます。思いつきではなく、長期的な計画に基づいて指示を出すことが重要となります。

時には、朝令暮改もあり得ることがあります。企業を取り巻く外部環境は刻々と変化しています。局面が変われば戦略の変更が必要となり、状況変化に対応できなければ淘汰されてしまうからです。この場合は、なぜ方針を変更するのか、その意図や背景を従業員にしっかりと説明することが必要です。

ただ方針を変えるのではなく、その変更がなぜ重要であり、どのような目的を達成するためかを明確に伝えることで従業員も理解しやすくなります。これにより、業務へのモチベーションや士気を維持することが可能となります。