戦略日記

社長が知らずに陥る学びの罠と真の仕事 #172

社長が知らずに陥る学びの罠と真の仕事 #172

意識の高い企業の社長は、日々熱心に経営の勉強を重ねています。勉強することは大変尊いことです。しかし、単に勉強をしているだけでは、会社の成果に繋げることは難しいと言えます。

経済産業省などの統計によると、過去30年間に廃業した会社は約282万社であり、毎年約9万4千社も廃業していることになります。また、廃業はしなくとも生き残った現存の会社の中で赤字の会社は72.8%です。現存する会社のほとんどが赤字であり、廃業予備軍になっています。総合的に考えると、全体の約87%が失敗しているという計算になります。この数字は、多くの社長が「本来の社長の仕事」を正しく行なっていない結果と言えます。

話を戻しますと、例えば自社の経営成果を高めていくために、経営者団体に属したりして勉強を重ねているはずですが、結果は大きく違っています。なぜなら、経営を大ざっぱに「一緒くた」に考えているからです。

「一緒くた」とは、多種多様なものをひとまとめにすること。一括りにすることを意味しています。さらに言えば、経営というものをごちゃまぜに考えて勉強しているからです。

そもそも社長は、経営とはどのような要因で形成されており、何の要因がどれくらい重要かということを知らなければいけません。この要因の数々は、外部要因と内部要因に分かれます。この重要度のウェイトは外部要因が80%で内部要因は20%です。文字通り、外部要因は社外における活動であり、内部要因は社内の活動となります。

巷に溢れる「経営の勉強」と称するものの大半は内部要因に関するものになっていると感じています。内部の人材や組織とその管理に関するものに終始し、チームワークやコミュニケーション形成などが社長の最も重要な仕事だと学び誤解しています。

社長の本当の仕事は「事業の経営」であって、会社の内部を管理することではなく、組織の管理やチームワークなどは手段でしかありません。あくまでも経営の本質的な目的は「市場活動」であって、それを果たすための組織であり、管理であり、チームワークであるべきなのです。市場活動とは、お客づくりです。

正に、市場活動は外部要因で構成されており、この中の戦略が重要となるのです。当然ですが、利益は外部要因のお客からしか生まれないということを知らなければ、社長の本来の仕事がわからないままで経営自体が五里霧中となり、社員や取引先を不幸へ導いてしまいます。よって社長は、何のためにどのような勉強をしなくてはいけないかの答えは明らかであり、深く考えなければいけません。