戦略日記
精神論に依存する経営 #140
精神論に依存する経営とは、経営戦略やマネジメントにおいて、精神力や意志力に頼る経営手法です。具体的には、従業員の士気やモチベーションを高めるために、激励や叱咤などの精神的な働きかけを行うことが特徴です。
故に、戦略実力が低い経営者は、従業員のモチベーションや個々の能力が上がれば業績も向上すると信じているので、地獄の研修へ行かせたりなど社員研修に熱心という皮肉な現象があります。(過去における小職の体験より)
これらは、短期的、一時的には効果を発揮することもありますが長期的には業績の向上につながらないことが多いです。なぜなら、生身の人間である従業員のモチベーションを永続的に持続させることは不可能であるからです。これで経営の根本的な問題を解決することはできないのです。会社を永続的に発展成長させるためには、経営の根幹となる戦略が必要不可欠となります。
例えば、経営者が従業員に「もっと頑張れ!」と叫んだとしても、従業員が頑張れるだけの環境が整っていなければ、業績は向上しません。また、経営者が従業員に「絶対に成功する!」と宣言したとしても、経営戦略が無かったり、間違っていれば成功することはできません。
戦略を知らず精神論に頼る経営者は、企業を危機に陥れかねません。戦略とは、企業が目標を達成するために必要な計画です。戦略がなければ、企業は迷走し、業績は悪化することは必定となり経営理念や経営ビジョンの実現は「夢のまた夢」となってしまいます。これらは戦略があってこそ実現可能となるものです。
精神論は、従業員の士気を高め、困難な状況を乗り越える力を与える役割を果たしますが、戦略の代わりになることはないのです。
従業員を叱咤激励する前に、経営者が戦略実力を高める以外に業績を上げることは難しくなります。経営者の能力の度合いは、戦略と仕組みの構築に尽きます。これは最重要且つ最優先事項であり、これが出来てこそ腹の底から沸々と湧き上がる経営理念が生まれ、将来に向けた経営ビジョンが出来上がり全社一丸となる企業へなっていくのです。