戦略日記
余白を埋めようとする経営 #111
上の画像をご覧いただきたい。
誰もがわかると思う「日の丸」です。この赤い丸の面積は全体に対して何パーセントくらいと思いますか?
約30%…
約40%…
約50%…
実は約20%程となっています。(厳密には18.8%で法律で定められています)
予想以上の小さな割合と驚かれるかと思います。世界196カ国の中で最もシンプルであり、誰でも覚えやすく子供でも簡単に描けると思います。
シンプルである力強さの源泉は、数(割合)が多ければ良いのではないということを教えてくれるものです。
なぜ力強さがあり、誰もが覚えやすいかと言えば「余白」があるからです。
「品揃えを増やそう。」
「機能を追加しよう。」
「事業領域を拡大しよう。」などなど、これまでの経営スタイルは「大きいことはいいことだ。」とばかりに余白を何かで必死に埋めようとしてきました。
何かを増やせば売上が上がると「これでもか。」と未だに足し算を続けている企業が無数にあります。
余白があるからこそ力強さが際立ち、インパクトがあるのに余白を埋めようとするのです。余白を埋めようとする足し算の経営は、競合ライバルとの競争が激化することになります。
拡大させようと増やした分だけ競争の数が増えることになるからです。これでは経営資源の少ない中小企業は疲弊していくことになります。
余白を持つ為には、引き算をしていくことが重要となります。引き算は、顧客を惹きつける引力を強くすることが出来ます。
例えば、あなたの会社の会社案内やホームページ、名刺、チラシ、広告物などはどうなっているでしょうか?
「あれも伝えよう。」「これも伝えよう。」と余白がなくなるほど詰め込み過ぎていないでしょうか。
余白を持つということは、日の丸のようにメリハリをつけるということです。メリハリは競合他社に無い尖った強みとなります。
メリハリをつけるメリットは他にもあります。ハロー効果(後光効果)といって、何か一つが突出していると他の要素のレベルも高いと思われやすい心理的メカニズムが働きます。
世の中の強いブランドは、余白を持つことで顧客の感情に訴え、心を惹きつけています。決して押す力で顧客を獲得しているわけではないのです。
余白をつくることは、何かを捨てることから始まります。これこそが顧客から想起され、支持をいただき競合を卓越する強みとなるのです。