戦略日記
社長の実力が社員の動機となる #107
社員のモチベーションを高くして維持することは、社長にとって大きな関心ごとの一つです。モチベーションとは、人が何かをする際の動機づけや目的意識です。
モチベーション(動機)に大きな影響を与える社長の実力を決定する要因には大きく二つあります。
一つ目は、社長自身が仕事上における目標を達成するのに、どれだけ強い意欲を持っているか。目標を達成するのに必要な知識や技術を、どの程度持ち合わせているか。
二つ目は、部下に対する思いやりや気配りなどの人間関係とメンバーの心を一つに束ねておくことです。仮に各々の心がバラバラになったり、人間関係が悪くなったことが原因で仕事に対する意欲が低下するばかりか、目標を達成することはできなくなります。
社長やリーダーには四つのタイプがあります。
業績1位は、部下思いで仕事に対しては鬼型社長で、従業員に対する気配りが行き届き、業績向上意欲が強いタイプ。
2位は、人間関係重視の温厚型社長で、業績意欲は弱いが気配りは強いというタイプ。
3位は、仕事中心の厳格型社長で、業績向上意欲は強いが人間味にかけるタイプ。
4位は、やる気のないダメ社長で、気配りに乏しく業績向上意欲も低いタイプ。
組織は人で構成されており人は感情を持った生き物であるため、人の能力が発揮されるには方針や目的の理解と動機付けが必要となります。
経営方針は目的と目標を合わせたものとなります。
ランチェスター戦略では経営の目的と目標は曖昧ではなく、明確に定義されています。
従業員のレベルが、社長のレベルよりも一定以上高くなった人は残念ながら会社を辞めていきます。一方、実力が低い従業員は、社長から常に「仕事が出来ない従業員だ」と批判されるので、この人もまた会社を辞めることになります。
結局、業歴が一定年数経過した会社では従業員の戦術上の実力は、社長の戦略上の実力と同じレベルになるということです。社長の実力がどのレベルであるかは、従業員一人当たりの年間粗利益を算出すれば一目瞭然です。
「子を見れば親がわかる。」という諺があります。
従業員を見れば、社長のレベルが分かると言われます。すなわち、会社のトップリーダーである社長の価値観や戦略実力が、その組織風土や組織力、個々の従業員の実力やその振る舞いの仕方まで影響し業績までも規定していくのです。
社長は本音のところ、ついつい従業員に対して愚痴が出そうになりますが、この時にそのベクトルを自分自身に向け、それは社長自身の実力不足という問題ではないのかと自問自答して戦略実力を高める必要があります。
戦略に基づく明確な経営方針こそ従業員の動機の根本となるのです。