戦略日記
増やせばリスクが分散する勘違い #88
社員から「あれをやりましょう!」「これもやりましょう!」と提案があると、積極的な姿勢だと評価されます。
反対に、「これをやめましょう。」「あれもやめましょう。」は消極的、後向きとなり評価されにくいと思います。
引き算する戦略には「生産的引き算」や「攻めの引き算」が存在します。
決して引き算だからといってネガティブ思考ではないのです。前向きな思考で「やめましょう。」と言える組織の風土こそ、戦略企業となり次から次へと足し算してきた経営から脱却することができます。
地域、客層、商品戦略に基づき、自社の商品やサービスの総点検をされてみることをお勧めします。
あれこれと足し算の経営は自信の無さの表れと言えます。
自信のない経営者は足し算を好みます。「増やしていけば、誰かにヒットして買ってもらえるだろう。」「多く揃えておけば、どことなく安心。」という発想であるからです。
「念のためやっておこう。」 「とりあずやっておこう。」 「一応、やっておこう。」はNGワードとなります。
需要が多様化している今の時代に、Aさんは「Aがいい。」 Bさんは「Bがいい。」と全ての顧客の声に応えようとすると足し算が進み、事業や商品が増殖していきます。
善かれと思い、行ってきた品揃えは、特徴がなくなり強みもなく希釈化が進みます。増やしたことで競合と重複する分野(要素)が多くなり、価格競争に巻き込まれていきます。在庫は膨らみ、社員の対応の手数が増えて固定費も膨らんでいきます。
とりあえず増やしたところで、一つに集中している専門化企業にはかないません。
「事業を増やし、一つがダメなら他の事業があるからリスクが分散するだろう。」
とんでもなく逆となります。分散するのは、リスクではなく経営資源です。
中小企業の元々少ない「ヒト・モノ・カネ」の貴重な経営資源が分散し、何もかもが中途半端となり、経営自体のリスクが高まってしまうのです。